サードプレイスとしての食房まさら

1997年に開業した私たちの店 食房まさらを始めようと言い出したのは、店主の母でした。父を助けて猛烈に働きながら、毎日家族に美味しい食事を作ってくれた母。

家族、親類、自分の友達や家族の友達…皆で母の料理を囲んで、楽しい時間を過ごしたものです。

始まった頃の食房まさらは、そんな食卓の延長線上にいた。そんな風に思います。

創業時のスタッフを始め、歴代のスタッフの皆さんも一所懸命努めてくれましたし、店を始めなければ出会えなかったたくさんのお客様に出逢うことができました。

22年以上も経て、店という場所は自分達だけのものではなくなったように思いますが、それでもやっぱりここは私のhomeだな…と感じる今日この頃です。

ご宴会を開いて下さる方あり、家族のお食事の場に選んで下さる方あり、お仕事やくだけた話に興じられる方あり。

お客様それぞれが思い思いに楽しんで下さるのが嬉しいのですが、店主が個人的に誇りに思うポイントは「お一人で気軽に立ち寄って下さる方がいらっしゃる」ということです。

飲みたい物を飲み、食べたい物を食べながら考えに耽ったり逆に何も考えなかったり…一人の時間を過ごすなら、本来は自分のおうちがいちばん寛げるはず。

それでも、わざわざこの店の扉を開けて、ゆったりとマイペースで過ごして下さるお客様がいらして下さるなんて!

会話でおもてなしするタイプのお店ではないので大したお構いもできませんが、少なくとも店主は非常に嬉しく思っています。

お仕事や日々の煩い事とご自宅の中間に、ひと息つけるサードプレイスがあるのは素敵なことです。

私たちが無我夢中で続けてきた店がそんな存在になれているのかもしれないと思うと、賞でも戴いたような気持ちになります。

もちろん、大勢のお客様の笑い声が溢れている時間も嬉しいものですよ。大歓迎です。

全てのことに終わりがあるように、この店にもいつか必ず終わりが来ます。

そのときにきっと、大変だったり辛かったことよりも こういう嬉しいことばかり思い出すんだろうな…と思うと、決して短くはない年月 店を守って来て良かったな!としみじみ感じます。

偉そうに言っても、まだまだ未熟者の店主です。今後ものんびりして戴けるように精進してまいります!