喪われた夏

新型コロナウイルス第2波、予測はしていましたが全国的に感染が拡大しています。

本当ならこの時期にしか会えない人に会うこと、ゆっくりと旅に出ること、夏フェスに行くこと、いろいろと叶わないことが多い2020夏です。

この夏いちばん衝撃を受けたのは、人気俳優さんの夭折のニュースです。特に大ファンだったわけでもないのに、なんだかずーっとぼんやり沈んだ気持ちが続きました。

ここ最近 おすすめメニューにしている「牛すじのビール煮」という料理があるのですが、これはその俳優さんがMCをしていた番組で紹介されていた、ベルギーのフリッツとカルボナードというお料理を見て「うわ美味しそう!食べたい!でもベルギーまで行けない!じゃあ自分で作るしかない!」と思ったのがきっかけで研究を始めました。

これもかなりの試行錯誤を経たメニューで、レシピが確立するまでスタッフの感想もイマイチ…やっと納得行くものができてからメニュー化しましたが、今でもお客様によって完璧にハマる方とそうでない方が分かれる一品です。

どうしても、完成までに手間暇がかかったメニューの方が愛着が湧きがちなので、この牛すじのビール煮にはちょっと思い入れがあります。そしてやっぱりいつかベルギーで本物を食べてみたいな〜と、今でも思っています。

きっかけをくれたその番組が大好きで、ずっと見ていました。それにしても自分でも驚くほどの喪失感をもってこの夏を過ごしています。いつの間にか、彼の笑顔にずいぶん癒やされていたのですね。

喪われたものを素直に抱いて生きていくには、少し時間がかかります。もしかしたら一生哀しい気持ちが続くかもしれません。でも人間はたったひとつの気持ちだけでは立ち行かず、哀しさを持ったままでも 少しずつ「希望」「喜び」「愉しさ」が心に寄り添ってくれるものです。

お盆で、それぞれ思い出される人がいることでしょう。出会えたことに感謝して、生かされていきたいものですね。